MM2H(マレーシア・マイセカンドホーム)は、外国人向けの長期滞在ビザ制度です。2024年7月22日付でSilver・Gold・Platinumの3区分に全面改定され、その後SEZ/SFZ(Special Economic Zone/Special Financial Zone)が加わり、2026年9月時点で4区分です(MOTAC公式サイトmm2h.gov.my・2026年9月29日確認)。定期預金はSilverがUSD150,000、GoldがUSD500,000、PlatinumがUSD1,000,000。いずれも住宅購入が必須で、下限はRM600,000〜RM2,000,000です。デサパークシティを含むクアラルンプール連邦直轄領で住宅を買うなら、外国人の最低購入価格RM1,000,000(購入手順の記事)とMM2Hの購入義務がどちらも効きます。改正が多い制度のため、数字はすべて2026年9月29日時点の確認です。
MM2Hとは 2024年の全面改定で3+1区分に
MM2Hは1996年に始まった長期滞在制度です。2021年10月に条件が厳格化され、2024年7月22日付でMOTAC(観光芸術文化省)が現行の3区分に全面改定しました(MOTAC「TERMS AND REGULATIONS FOR NEW PARTICIPANTS UNDER THE MM2H PROGRAMME」・文書表記「ACCURATE AS OF 22 JULY 2024」)。公式サイトmm2h.gov.myの各区分ページ(最終更新2026年2月10日)も同じ数字で、2026年9月29日確認時点で大きな変更はありません。ジョホール州フォレストシティ限定のSEZ/SFZ区分を加えた4区分が現行の全体像です(mm2h.gov.my)。申請はMOTAC認可の専門業者経由のみで直接申請はできず、審査・パス発給は内務省配下の移民局が担当します(同PDF)。他のビザとの比較はビザ・在留資格の記事を参照してください。
Silver・Gold・Platinum 条件を表で比較
3区分の条件は、預金額・購入義務・パス期間の3点が主に違います。共通条件は25歳以上、年90日(累計)のマレーシア滞在義務、住宅購入後10年間の売却禁止(買い替えは可)、オフショア所得要件の撤廃、FD原資の50%までを医療・教育・住宅購入目的で引き出し可、です(mm2h.gov.my各区分ページ・2026年9月29日確認)。
| 区分 | 定期預金(FD) | 住宅購入義務 | 参加費(1回・主申請者) | 更新料(5年ごと) | パス期間 | 就労・投資活動 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Silver | USD150,000 | RM600,000以上 | RM1,000 | RM1,500 | 5年(更新可) | 不可 |
| Gold | USD500,000 | RM1,000,000以上 | RM3,000 | RM3,000 | 15年(更新可) | 不可 |
| Platinum | USD1,000,000 | RM2,000,000以上 | RM200,000 | RM5,000 | 20年(更新可) | 可 |
90日間の滞在義務には例外があります。25〜49歳の参加者は、主申請者本人と扶養家族(家族単位)で滞在日数を分担して満たせます(mm2h.gov.my・原文「the length of stay in Malaysia can be fulfilled by the principal or his/her dependents」)。50歳以上は滞在義務が免除されるとする民間サイトの解説が複数ありますが、MOTAC公式の区分ページ・PDFのいずれにも年齢による免除の明記はありません。要確認です。
扶養家族は配偶者、21歳未満の実子・養子・継子(21〜34歳は独身・無職に限る)、障害のある子(年齢制限なし)、両親・義理の両親までSilver・Gold・Platinum共通です。家政婦(foreign maid)の帯同はPlatinumのみ明記されています(MOTAC公式PDF)。就労・投資活動もPlatinumのみ「Permissible」、Silver・Goldは「Not allowed」です(同PDF)。
SEZ/SFZ フォレストシティ限定の第4区分
SEZ/SFZ区分は、ジョホール州フォレストシティ(Forest City)の物件購入者向けです。定期預金はUSD65,000(21〜49歳)とUSD32,000(50歳以上)でSilverより低く設定されています(mm2h.gov.my SEZ区分ページ・原文「USD65,000 for ages 21 to 49; and USD32,000 for ages 50 and above」・2026年9月29日確認)。参加費はRM1,000、パス期間は10年(更新可)、年齢要件は21歳以上です。
住宅は「Compulsory to purchase and own a property/house in Forest City, Johor after obtaining the approval」とフォレストシティ限定と明記され(同ページ)、デサパークシティを含む連邦直轄領の物件では要件を満たせません。購入価格の下限RM500,000・承認から90日以内の購入期限は複数の民間解説サイトに見られますが、mm2h.gov.my本文には明記がなく要確認です。デサパークシティ居住を検討するなら、SEZ/SFZは対象外でSilver・Gold・Platinumのいずれかを選びます。
住宅購入義務とデサパークシティで検討する場合の注意点
Silver・Gold・Platinumはいずれも承認後の住宅購入が必須で、購入した住宅は10年間売却できません(買い替えは可)。ここで注意が必要なのは、MM2Hの購入下限とクアラルンプール連邦直轄領の外国人購入下限が別ルールという点です。MM2H Silverの義務はRM600,000以上ですが、連邦直轄領で外国人が住宅を買う場合、国家土地法433B条に基づく州同意と、経済省ガイドラインが定めるRM1,000,000以上という条件が別途かかります(購入手順の記事)。デサパークシティはこの基準が当てはまるため、SilverでRM600,000〜RM1,000,000未満の物件を買おうとしても州同意の対象外です。実質的に、デサパークシティで住むならMM2H Gold(RM1,000,000以上)かPlatinum(RM2,000,000以上)が現実的な選択です。
自社データ(iProperty現役掲載・2026年9月29日時点・売出223件)では、3BRの価格中央値はRM2,400,000(103件)です(賃貸相場の記事・投資利回りの記事)。棟別ではウェストサイドIIIやワン・セントラルパークがGold区分の水準、パーク・リージェントはNAPIC直近12ヶ月PSF中央値RM2,082(14件)でPlatinum水準が中心です。
印紙税はMM2H保有者でも一般の外国人と同じ一律8%(2026年1月1日以降のMOT)で、MM2Hによる軽減はありません。10年間の売却禁止は、売却の記事で扱う譲渡益税(RPGT)の保有期間ルールとは別に、MM2Hの条件として独立して効きます。日本との税務の関係は税金の記事で整理しています。
申請の流れと必要書類
申請はMOTAC認可のMM2H専門業者を通じ、One Stop Centre(OSC MM2H)で審査されます。主な必要書類は有効なパスポート、健康診断書(承認後にMOTAC指定の医療機関で受診)、定期預金の証憑、住宅購入後の売買契約書です。パスの有効期間はパスポートの残存期間に連動します(MOTAC公式PDF)。更新は各区分の期間満了後に5年単位で、有効なパスポート・最新の健康診断書・医療保険の写しが必要です(同PDF)。
住宅購入の期限について、承認から12ヶ月以内に購入する必要があるとする解説が複数の民間サイトに見られますが、MOTAC公式PDF・mm2h.gov.myの各ページ本文には期限の明記がなく、要確認です。実務では専門業者を通じて個別に確認することになります。
サラワク州の独自制度 SMM2H(Sarawak MM2H)
ボルネオ島のサラワク州は、連邦のMM2Hとは別にSMM2H(Sarawak Malaysia My Second Home)を単独運営しています。所管はサラワク州観光・クリエイティブ産業・舞台芸術省(MTCP)です(mtcp.sarawak.gov.my・2026年9月29日確認)。
最大の違いは住宅購入が必須ではない点です。定期預金はRM500,000(1申請あたり)、年間の最低滞在日数はサラワク州内で30日、パス期間は5年(更新可)です(MTCP公式・2026年9月29日確認)。就労はフルタイム不可で、教育・銀行/証券・製造・医療の承認職種に限り週20時間までの兼業が可能。70歳未満は全期間有効な医療保険が必須です(MTCP公式)。
| 項目 | 連邦MM2H(Silver) | サラワク州SMM2H |
|---|---|---|
| 所管 | MOTAC(観光芸術文化省) | MTCP(サラワク州観光・クリエイティブ産業・舞台芸術省) |
| 年齢要件 | 25歳以上 | 30歳以上 |
| 定期預金 | USD150,000 | RM500,000 |
| 住宅購入 | RM600,000以上・必須 | 不要 |
| 滞在義務 | 年90日(マレーシア全土) | 年30日(サラワク州内) |
| パス期間 | 5年(更新可) | 5年(更新可) |
| 就労 | 不可 | 承認職種で週20時間まで可 |
所得・流動資産の代替要件(単身RM10,000/月の年金・オフショア所得、または流動資産RM100,000など)はSMM2H公式ポータル(sarawakmm2h.com.my)に記載がありますが、MTCP公式ページとの粒度が異なり正確な現行額は要確認です。デサパークシティは連邦直轄領にあり、サラワク州SMM2Hの対象地域外です。サラワク州での長期滞在は連邦MM2Hと別に申請が必要です。
2026年の実績と今後の動向
MOTACのOne Stop Centreによると、2024年10月1日〜2026年8月31日の約23ヶ月間で、全区分の新規申請は7,650件でした。経済効果はFDと不動産購入を合わせてRM88.5億、内訳は不動産購入がRM50億超、定期預金がRM38.2億です(Bernama・2026-09-26、Chiew Choon Man副観光芸術文化大臣の発表)。国籍別では中国が3,847件で最多、台湾1,054件、香港324件、シンガポール287件、米国284件と続きます(同発表)。日本を含む個別の申請数は今回の発表に含まれていません。MOTACは今後、香港・日本・韓国向けの海外セールスミッションを予定しています(同発表)。
一方、現地メディアは条件の厳しさを指摘しています。The Star紙のコラムは「Higher financial barriers and stricter rules risk shrinking the number of applicants」(財政的なハードルの高さと厳格なルールが申請者数を減らすリスクがある)と評しています(The Star・2026-07-17)。申請件数の伸びと条件への評価が分かれているのが2026年9月時点の実情です。
デサパークシティでMM2Hを使って住まいを探す
MM2Hで住宅購入が必須になったことで、ビザ取得と物件探しは同時進行になります。デサパークシティで検討する場合、外国人の購入下限RM1,000,000(購入手順の記事)とMM2H Gold/Platinumの購入義務がほぼ重なるため、区分選びと物件選びを切り離さずに進めるのが実務的です。子どもの教育はインター校ISPの記事、日本人としての暮らしやすさは日本人・駐在の記事、モントキアラとの違いは比較記事、新築検討はNooraの記事を参照してください。家族で移る場合のヘルパー雇用の費用と手続きはヘルパーの記事にあります。
希望する区分(Silver/Gold/Platinum)・予算・入居時期・家族構成をWhatsAppで送っていただければ、その時点の掲載データと購入条件を突き合わせて個別に案内します。
よくある質問
MM2Hを取れば無条件でクアラルンプールの不動産を買えますか
いいえ。MM2Hの住宅購入義務(Silver RM600,000以上など)と、クアラルンプール連邦直轄領の外国人購入下限RM1,000,000は別のルールです。デサパークシティで買う場合はRM1,000,000以上が適用されます。
Silver・Gold・Platinumはどう選べばいいですか
定期預金額・住宅購入下限・パス期間・就労可否で選びます。デサパークシティで住宅を買うならRM1,000,000以上が必要なため、実質的にGold以上が対象になります。就労・投資活動を行いたい場合はPlatinumのみ可能です。
サラワク州のSMM2Hとクアラルンプールで使えるMM2Hは併用できますか
制度としては別物で、サラワク州SMM2Hはサラワク州内のみが対象です。デサパークシティなどクアラルンプールでの長期滞在には連邦のMM2H(Silver/Gold/Platinum/SEZ)が必要です。
住宅購入後、10年以内に売ることはできますか
原則できません。MOTAC公式資料は「Selling of the residence is not allowed for 10 years」と明記しています。ただし同じ区分の中でより高額な物件への買い替え(アップグレード)は認められています。
MM2Hの条件は今後も変わりますか
可能性はあります。2021年10月の厳格化、2024年7月の3区分への全面改定、SEZ/SFZ区分の追加と、この制度は改正が続いています。本記事の数字は2026年9月29日時点の確認で、今後の予算や政策発表で変更されうる点にご留意ください。