外国人はデサパークシティ(Desa ParkCity)の住宅を買えます。条件はRM1,000,000以上の住戸であること、州同意(State Authority Consent)を取ること、そして2026年1月1日以降の移転登記(MOT)から印紙税が一律8%かかることの3つです。予約から登記完了までは4〜6ヶ月が目安。この記事では、コンドミニアム一覧の記事で要約した手続きを、法令の一次ソースと自社の成約データで深掘りします。

外国人が買える条件はRM100万以上・州同意あり

外国人の不動産取得は、国家土地法(National Land Code)433B条で州当局の事前承認が要件です。連邦直轄領クアラルンプールの住宅の最低購入価格はRM1,000,000(マレーシア弁護士会Circular No 444/2024・2024年10月時点の各州一覧)。デサパークシティは連邦直轄領側にあり、この基準がそのまま当てはまります。

隣のセランゴール州は別基準で、同じ一覧ではペタリン・ゴンバックなどゾーン1・2の住宅はRM2,000,000以上、しかも個別権利証の一戸建ては外国人不可でストラタ(区分所有)物件に限られます。条件が倍近く違うため、デサパークシティがKL側にあることは外国人には明確な利点です。

基準額の根拠は経済省の「不動産取得ガイドライン(Garis Panduan Perolehan Hartanah)」で、2022年7月13日施行の現行版でも「1戸あたりRM1,000,000未満の不動産」は外国人の取得不可と明記されています(2026年9月時点)。

外国人が買えない物件の種類

同ガイドライン第10項は、外国人が取得できない不動産を4種類挙げています。

  • 1戸あたりの価値がRM1,000,000未満の不動産
  • 州当局が定める低コスト・中低コスト(low-medium cost)住宅
  • マレー人保留地(Malay Reserved Land)上の不動産
  • 開発プロジェクトでブミプトラ(Bumiputera)向けに割り当てられた住戸

デサパークシティはフリーホールドの民間開発で、マレー人保留地ではありません。実務で効くのは4点目で、築浅の棟に残るブミプトラ割当ユニット(Bumi lot)は、割当解除前だと外国人も非ブミプトラのマレーシア人も買えません。売出を見たら「Bumi lotかどうか」を先に確認してください。

購入手順とタイムライン

手続きは弁護士(solicitor)が主導します。中古(subsale)の標準的な流れを所要期間と動く人で示します(現地法律事務所Donovan & Ho・L Y Lu & Coの解説をもとに作成)。

段階やること目安期間主に動く人
1. 予約(Booking)Letter of Offerに署名し、手付2〜3%を支払う内見後すぐ買い手・エージェント
2. SPA署名受諾から14〜21日以内にSale and Purchase Agreement(売買契約)に署名し、頭金を合計10%まで支払う第1ヶ月買い手側弁護士
3. 州同意申請連邦直轄領土地鉱物局(PTG WP)へ433B条の承認を申請1〜3ヶ月買い手側弁護士
4. 住宅ローン銀行へ申請、評価(valuation)、融資契約に署名。SPA後に並行2〜6週間買い手・銀行
5. 残金決済同意取得後、SPAの決済期限(通常3ヶ月+延長1ヶ月)内に残金90%を支払う第4〜6ヶ月弁護士・銀行
6. MOT登記移転証書(Memorandum of Transfer)をLHDNで印紙、土地局で登記。鍵の引渡し決済前後弁護士

州同意が全体の所要期間を決めます。L Y Lu & Co(2025年5月更新)は「弁護士経由で1〜3ヶ月」、Mah Weng Kwai(2024年6月更新)は「少なくとも3ヶ月」としており、SPAには「同意取得後に決済期限を起算する」条項を入れるのが定石です。申請書類はSPAとパスポートの写しなどで、弁護士がまとめて出します(L Y Lu & Co)。決済期限を過ぎると遅延利息が付き、極端な遅延では頭金10%の没収もあります(Donovan & Ho)。

諸費用の全体像 印紙税8%が最大項目

外国人の諸費用は物件価格の9〜10%台が目安で、大半をMOT印紙税(Stamp Duty)が占めます。2025年10月発表の2026年度予算(Budget 2026)で、非市民(永住権者を除く)と外国法人への住宅移転の印紙税は、2024年1月からの一律4%が一律8%になりました。根拠法は2025年12月27日裁可のFinance Act 2025で、印紙税法の新設Item 32(ab)が「購入価格または市場価格の高い方の8%」と定めています(現地法律事務所Zaid Ibrahim & Co・2025年10月ほか)。判定はSPAの署名日ではなく、移転証書が2026年1月1日以降に作成されたかどうかです。

項目料率・金額(2026年9月時点)
MOT印紙税(非市民)物件価格の一律8%
SPA印紙RM10
ローン契約の印紙税借入額の0.5%
弁護士費用(SPA・ローン契約それぞれ)最初のRM500,000に1.25%、次のRM7,000,000に1%(Solicitors’ Remuneration Order 2023)
評価費用(Valuation)最初のRM100,000に0.25%、RM2,000,000までの残額に0.2%、RM7,000,000までの残額に1/6%(評価士規則1986)
州同意の申請料少額(2014年時点の現地解説でRM150。現行額は要確認)
エージェント手数料買い手負担なしが通例。売主が最大3%を負担(BOVAEP上限)

弁護士費用は実費とサービス税が別です。70%融資を使う前提で2ケースを試算します。

項目RM1,500,000(借入RM1,050,000)RM2,500,000(借入RM1,750,000)
MOT印紙税1,500,000×8%=RM120,0002,500,000×8%=RM200,000
SPA弁護士費用500,000×1.25%+1,000,000×1%=RM16,250500,000×1.25%+2,000,000×1%=RM26,250
ローン印紙税1,050,000×0.5%=RM5,2501,750,000×0.5%=RM8,750
ローン弁護士費用500,000×1.25%+550,000×1%=RM11,750500,000×1.25%+1,250,000×1%=RM18,750
評価費用100,000×0.25%+1,400,000×0.2%=RM3,050100,000×0.25%+1,900,000×0.2%+500,000×1/6%=RM4,883
合計(SPA印紙RM10込み)RM156,310(価格の10.4%)RM258,643(価格の10.3%)

現金購入ならローン関連の3項目が消え、いずれも価格の9.1%です。保有・売却時の税金と日本側の申告は税金の記事にまとめています。

住宅ローンは外国人でも組める

マレーシアの銀行は外国人にも住宅ローンを出します。融資比率(Margin of Financing)は評価額の60〜70%が一般的です(現地法律事務所Viknesh & Yapの解説・2025年)。MM2H保有者は条件が良く、Maybankは上限80%・期間20年または65歳まで(MM2Hプログラム利用規約v1・2025年)、CIMBはMRTA・弁護士費用・評価費用込みで上限85%・期間35年または70歳までを公開しています(2026年9月時点・各行公式サイト)。

必要書類はパスポート、収入証明、直近3〜6ヶ月の銀行取引明細、母国の納税書類、SPAが基本です。金利は各行のリスクベース料率で個別提示され、外国人向けの水準を公開している銀行は少数です。SPA署名前に2〜3行へ打診しておくのが現実的です。月返済額の試算と銀行ごとの条件は住宅ローンの記事で扱っています。

MM2Hを持っているとどう変わるか

長期滞在ビザMM2H(Malaysia My Second Home)は2024年改定で3ティア制になり、住宅の購入が義務になりました(観光芸術文化省MOTACの利用規約・2024年7月22日時点)。

ティア定期預金購入義務の最低価格パス期間
SilverUSD150,000RM600,000以上5年(更新可)
GoldUSD500,000RM1,000,000以上15年(更新可)
PlatinumUSD1,000,000RM2,000,000以上20年(更新可)

共通条件は、承認後に住宅を購入・保有して10年間売却しないこと(買い替えは可)、定期預金は住宅購入・教育・医療目的で元本の50%まで引き出せることです。

デサパークシティとの関係では2点。SilverのRM600,000はMM2H側の下限で、KLで買う以上は州基準のRM1,000,000が優先します。またMM2Hは永住権ではないため印紙税は8%のままです。MM2Hで有利になるのは融資比率と滞在資格で、購入条件と税率は一般の外国人と同じです。

デサパークシティで外国人が買える棟・買えない住戸

RM1,000,000の線がどの棟で効くかを自社データで見ます。NAPIC由来の実成約(list.my集計・2026年9月時点)の直近12ヶ月で、RM1,000,000未満の成約があった棟は2つだけです。

ウェストサイドIIの直近下限はRM1,030,000、ウェストサイドIIIはRM1,435,000、パーク・リージェントはRM1,390,000で、いずれも基準を超えます。

売出中の掲載では、線にかかる棟が増えます。iProperty現役掲載(2026年9月時点)の売出は、ナディアが16件中8件、ノースショア・ガーデンズが14件中5件、ウェストサイドIが18件中4件でRM1,000,000未満(最安はナディアのRM780,000)。ナディアは売出中央値がRM990,000で、外国人が買えるのは上位半分に限られます。

一軒家(landed)もKLでは外国人が買えます。デサパークシティの戸建は直近成約の最安帯でもRM2,630,000からで、基準は問題になりません(一軒家の記事)。

住まい選びにどう効くか 資金計画のタイムライン

外国人の購入で失敗しやすいのは「いつ・いくら現金が要るか」の読み違いです。RM1,500,000の住戸を70%融資で買う場合、第1ヶ月に頭金10%のRM150,000とSPA弁護士費用・SPA印紙のRM16,260、第1〜2ヶ月にローン関連(印紙税・弁護士費用・評価費用)のRM20,050、決済と登記が重なる第4〜6ヶ月に自己資金分の残金20%=RM300,000とMOT印紙税RM120,000が出ていきます。

自己資金の合計は、頭金と残金の30%=RM450,000に諸費用RM156,310を加えたRM606,310で、物件価格の40.4%です(計算根拠: 450,000+156,310=606,310、606,310÷1,500,000=40.4%)。裏返すと、用意できる現金÷0.404が70%融資で狙える上限価格です。RM600,000ならRM1,485,000前後、RM1,000,000ならRM2,475,000前後で、前者はサウス・ブルックス、後者はワン・セントラルパークやパーク・リージェントが候補帯です。

賃貸に回すなら投資利回りの記事と賃貸相場の記事、出口の税負担は売却の記事、エリアで迷うならモントキアラとの比較記事を参照してください。

州同意に1〜3ヶ月かかる以上、良い売出が出てから資金を組み始めると間に合いません。「自己資金・希望棟・購入時期」をWhatsAppで送っていただければ、条件に合う売出と外国人購入の可否を個別に案内します。

よくある質問

外国人はデサパークシティのコンドを本当に買えますか

買えます。連邦直轄領クアラルンプールの基準はRM1,000,000以上の住宅で、州同意の取得が条件です。

RM1,000,000未満の住戸を外国人名義で買う方法はありますか

ありません。経済省ガイドラインで「1戸あたりRM1,000,000未満」は外国人取得不可と定められ、州同意が下りません。売出価格がRM1,000,000以上かを先に確認してください。

印紙税8%はいつから、誰に適用されますか

2026年1月1日以降に作成される移転証書(MOT)からで、非市民(永住権者を除く)と外国法人が対象です。SPAを2025年に結んでいても、MOTが2026年なら8%です。

州同意にはどれくらいかかりますか

法律事務所の解説では1〜3ヶ月、慎重な見方では「少なくとも3ヶ月」です。全体の4〜6ヶ月のうち最も時間が読めない工程です。

買った物件を売るときに税金はかかりますか

かかります。不動産譲渡益税(RPGT)は非市民の場合、取得から5年以内の売却で利益の30%、6年目以降で10%です(マレーシア弁護士会Circular No 444/2024)。