ジョホールバル(JB)は、シンガポールと隣り合う立地と、JS-SEZ(ジョホール・シンガポール経済特区)およびRTSリンクという2つの材料で、投資先として注目されています。価格はKLより大幅に低く、賃貸の総利回り(諸経費控除前)は2〜5%台です。同時に、高層コンドの供給が積み上がっており、開通日の未確定も含めて、材料は「期待」と「リスク」の両面があります。この記事は、公的機関と大手メディアの一次情報、および自社のKL側データで、JBとKLを比較し、外国人にとっての投資性を整理します。

結論|JBの価格はKLの約3分の2以下だが、供給過剰と出口の弱さが最大のリスク

list.myが公開するNAPIC由来の中古取引(2021〜2026年)では、住宅の中央値PSFはJB地区でRM369、KL全体でRM550です。デサパークシティは当サイトの自社成約564件の中央値がRM1,098で、JBの約3倍です。ただし取引の混在(古い低価格住宅を含む)で、新築や高層コンドの単価は上がります。NSTの2026年1月の記事では、JB全体の平均が約RM700/sqft、CIQ(出入国施設)やRTS駅の近くは新築でRM1,200〜1,300/sqftです。

一方で、CIMB Researchは2026年7月17日付のレポートで、JB高層住宅の「需要が追いつかない場合の供給過剰リスク」を警告しています。既存のサービスアパートメント108,863戸に対し、2030年までの供給予定が41,832戸、2031年までの計画が18,712戸です(The Star・2026年7月17日)。合計60,544戸は既存在庫の55.6%にあたります。

比較項目ジョホールバルクアラルンプール
住宅の中央値PSF(中古取引)RM369(JB地区)RM550(KL全体)
新築の単価平均約RM700/CIQ・RTS近くRM1,200〜1,300デサパーク成約の中央値RM1,098(自社)
賃貸の総利回り2〜4%、良好物件で最大5%デサパーク(自社)3.5〜4.9%
外国人の最低購入額(高層)RM100万RM100万
主な材料JS-SEZ・RTSリンク首都機能・成熟した住宅市場
主なリスク高層の供給増加(既存の55.6%相当が予定)外国人の買い手層がRM100万以上に限られる

RTSリンク|開通は「2026年末目標」、正式日は未発表

RTSリンクは、JBのブキット・チャガールとシンガポールのウッドランズ・ノースを結ぶ約4kmの鉄道です。シンガポール陸上交通庁(LTA)は「2026年末に旅客サービスを開始する目標」と公表しており、所要時間は約5分、ピーク時の輸送力は片方向で毎時1万人です。出入国審査は出発駅で1回で済みます(LTA・2026年9〜10月確認)。

正式な開業日は決まっていません。マレーシアのロケ運輸相は2026年8月18日、「開業日は相手国の運輸相と共同で近く発表する。一方的な発表はできない」と述べ、運賃も協議中としました(The Star・同日)。報道では2027年1月1日の開通を見込む記事が多く、CIMB Researchは「2027年第1四半期」と表記しています。

つまり、投資判断の材料としては「2026年12月末〜2027年初めの開通が濃厚だが、日付は公式に未発表」というのが2026年10月時点の正確な状況です。シンガポール勤務者の需要を織り込む前提は、開通後の運賃と運行本数を見てからでも遅くありません。

JS-SEZ|11分野・9つの重点区域の枠組み。住宅への直接の規定は確認できず

JS-SEZは、2025年1月7日にマレーシアとシンガポールが署名した経済特区です。対象は物流・製造・金融・デジタル・観光・教育・医療など11分野で、総面積は3,588km²、重点区域は9つ(ジョホールバル・ウォーターフロント、イスカンダル・プテリ、タンジュン・プラパス、セナイ・スクダイ、クライ・セデナク、デサル・ペナワル、フォレストシティ、ペンゲランなど)です(MIDA・2026年9〜10月確認)。

目標は、5年で50プロジェクト、10年で100プロジェクト、2万人の高技能雇用です。税制面では、対象事業の法人税5%(最長15年)、対象の知識労働者の個人所得税15%(10年間)の優遇が用意されています(MIDA・法律事務所解説)。

住宅への影響は間接的です。確認できた公的資料に、外国人の住宅購入の最低額や税を変える規定はありません(公表なし)。雇用と人口の流入が需要を生むという経路は、実際の入居者数と賃料の推移で検証することになります。

外国人の購入条件|最低RM100万・承認費3%・印紙税8%

外国人が買える最低価格は、州が決めます。ジョホール州は、州の住宅・地方自治委員長が「現行のRM100万を維持する。連邦政府の政策だから」と述べたと報じられています(The Edge・掲載日は未確認)。不動産会社の2026年資料も、ジョホールの高層をRM100万、指定の国際ゾーンの低層をRM200万としています。

地域高層(ストラタ)低層(ランデッド)
クアラルンプールRM100万RM100万
ジョホール州RM100万RM200万(指定の国際ゾーン)
ペナン島RM100万RM300万
ペナン本土RM50万RM100万

州政府の告示原文は確認できていません。購入前に弁護士へ確認してください。フォレストシティ経済特区には、開発元からの購入でMM2H連動のRM50万から入れるルートがある、と不動産会社の資料は説明しています。一般の最低額とは別の枠組みです。

購入コストは、次の3層に分かれます。

  • 印紙税: 2026年1月1日から、外国人の住宅取得は所有権移転の印紙税が一律8%です。RM150万でRM12万(EdgeProp・2026年)
  • 州の承認手数料: ジョホール州は承認手数料を2%(最低RM2万)から3%(最低RM3万)に引き上げると、2025年6月にオンヒ州首相が発表しました(The Star・2025年6月18日)。さらに、RM50万超の物件は、RM10万増えるごとにRM500の登記費用が加わります。施行日は同記事に明記がなく、2025年7月1日の施行とする法律事務所の解説があります(検索結果の要約による確認・要原典確認)
  • キャピタルゲイン税(RPGT): 外国人は5年以内の売却益に30%、それ以降は10%(EdgeProp・2026年)

総額は購入価格の約10〜11%、州によっては1〜2%の差、とEdgePropは伝えています。

RM100万で何が買えるか|KLとJBの単純計算

外国人の最低額が同じRM100万なので、同じ予算で買える広さで比較します。中央値PSFで単純計算した数字です(築年・階数・眺望は含まない)。

比較対象PSFRM100万で買える広さ
JB地区の中央値(住宅・中古)RM369約2,710 sqft
JB市中心部(バンダル・ジョホールバル)RM546約1,830 sqft
JB新築(CIQ・RTS近く・NST)RM1,200〜1,300約770〜830 sqft
デサパーク成約(自社・中央値)RM1,098約910 sqft
デサパーク成約(自社・2025年以降135件)RM1,251約800 sqft

RTS駅近くの新築は、デサパークの成約単価とほぼ同じ水準です。JBの数字が安く見えるのは、遠隔地の中古が平均を下げているためで、外国人が実際に検討する新築の駅近エリアでは、デサパークの成約単価との差はほぼありません。NSTは新築が同条件の中古より40〜50%高いと指摘しています(2026年1月)。

自社データ|KL側の実態で見るRM100万の壁と利回り

当サイトが集計した自社成約データ(564件・2021年4月〜2026年2月・面積異常の4件を除外)のうち、RM100万未満は47件(8.3%)でした。外国人はこの価格帯を買えません。デサパークの売り物件223件(iProperty現役掲載・2026年9月29日時点)のうち、RM100万以上は212件(95%)です。KL側は最低額の線と相場がほぼ重なっています。棟別の成約中央値PSFは、パーク・リージェントがRM1,617(64件)、ワン・セントラルパークがRM1,158(47件)、ウェストサイドIIIがRM997(44件)です。

賃貸利回りは、売り・貸しの中央値から出しました(掲載価格ベース)。

間取り賃料中央値(月)売出中央値総利回り
1BRRM4,000(9件)RM980,000(5件)4.9%
2BRRM5,500(60件)RM1,480,000(51件)4.5%
3BRRM7,000(87件)RM2,400,000(103件)3.5%

JBの利回りは、地域差が大きくなります。JBの不動産会社ブログ(propcashflow.my・2026年)は、マウント・オースティンを総利回り5.0〜6.5%、テブラウを5.0〜6.0%、ダンガベイの高級コンドを3.5〜4.5%としています。RM80万の水辺物件で月RM2,500の賃料は総利回り3.75%です。テブラウでは総利回り4.3%の物件が、管理費・地税・保険・空室を引くと3.5%に下がる例も示されています。デサパークの3.5〜4.9%と、JBの高級帯の3.5〜4.5%は、ほぼ同じ水準です。

賃料の水準は、自社集計の家具付き比率にも表れます。デサパークの賃貸176件のうち、フル家具付きが129件(73%)、一部家具付きが43件(24%)、家具なしは3件(2%)です。入居者に選ばれやすい家具付きが主流です。

リスク|供給・出口・進行遅れ

供給。 NSTによれば、RTS沿線では少なくとも8つの高層住宅が計画または建設中で、2029〜2030年に1万4,000戸超が供給される見込みです。2023〜2024年の新規発売だけで8,000戸超でした(2026年1月)。CIMBが指摘するとおり、需要が追いつかなければ賃料と価格の両方に圧力がかかります。

出口。 NSTは、立地の強みがなければ売却が難しく、外国人投資家の流動性に懸念があるとしています。外国人は買える最低額がRM100万のため、買い手の層も限られます。

進行遅れ。 ジョホール州には、全国347件の「シック・プロジェクト」(遅延・放棄された開発)のうち12件があります(NST・2026年1月)。新築の購入前には、開発元の実績と完工保証の確認が要ります。

一方、KL側は、購入・保有の全体像をマレーシア不動産投資の記事、コンド購入の手順を外国人の購入手順の記事、利回りの詳細をデサパークシティの利回り記事で整理しています。KLの住宅市場全体はKLのコンド坪単価の記事、KLとペナンの比較はペナンとの比較記事、ビザ面はMM2Hの2026年ガイドで確認できます。

家族構成・予算・投資目的(居住か賃貸運用か)をWhatsAppで送っていただければ、KL側の掲載と成約データを突き合わせて、提携エージェントを通じて個別に案内します。

よくある質問

ジョホールバルの物件は、外国人でも買えますか

買えます。ジョホール州の外国人向けの最低額は高層でRM100万で、州政府の承認が必要です(The Edge・不動産会社の2026年資料)。承認手数料は、2025年に2%から3%(最低RM3万)へ引き上げる方針が発表されました。

RTSリンクはいつ開通しますか

シンガポール陸上交通庁は「2026年末に旅客サービスを開始する目標」としています。マレーシア運輸相は2026年8月18日に、開業日は両国の運輸相が共同で発表すると述べており、日付は公式には未発表です。報道の多くは2027年1月1日の開業を見込んでいます。

JS-SEZで、不動産の価格は上がりますか

確認できた公的資料に、住宅価格の見通しは記載がありません。JS-SEZは11分野の産業・雇用の枠組みで、目標は5年で50プロジェクト・2万人の高技能雇用です。CIMB Researchは、期待の一方で高層住宅の供給過剰リスクを警告しています。

ジョホールバルの賃貸利回りはどのくらいですか

総利回りは2〜4%が一般的で、良好な物件で5%に達するとNSTは伝えています(2026年1月)。ブログ情報では、マウント・オースティンが5.0〜6.5%、ダンガベイが3.5〜4.5%です。管理費・空室後は0.5〜1ポイント下がる例があります。

ジョホールバルとKLは、どちらが投資に向いていますか

価格の低さと将来の需要期待はJB、流動性と賃料の安定性はKLです。外国人の最低額はどちらもRM100万で、同じ予算ならJBのほうが広い部屋を買えますが、新築の駅近ではKLとほぼ同じ単価になります。出口を重視するならKLが優位です。

ジョホールで外国人が売却するときの税金は何ですか

キャピタルゲイン税(RPGT)は、外国人の場合、5年以内の売却益に30%、5年超で10%です(EdgeProp・2026年)。購入時には8%の印紙税と州の承認手数料が別にかかります。