DE Rantau Nomad Passは、海外の顧客や勤務先の仕事をマレーシアから続けたい人のための専門職訪問パスです。運営はMDEC(Malaysia Digital Economy Corporation)で、年収USD24,000超が最低ラインです。日本人が最も使いやすい点は、マレーシアの会社に雇われずに滞在資格を取れることです。一方で、銀行口座が作りにくい、最長24ヶ月、税務の居住者判定が発生するという制約もあります。この記事では、条件・費用・申請手順・税・住まいの費用を、MDEC公式FAQと現地の一次情報で整理します。全体のビザ比較はビザ比較の記事を参照してください。
結論|年収USD24,000超・費用RM1,440〜・最長24ヶ月
DE Rantauの要点は5つです(MDEC公式FAQ v3.0・2024年4月版と2026年9〜10月の確認)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | フリーランスまたはリモート社員(IT・デジタル職。2024年6月に対象職種が拡大) |
| 最低収入 | 年収USD24,000超 |
| パス種別 | Professional Visit Pass(専門職訪問パス) |
| 期間 | 3〜12ヶ月。更新1回で最長24ヶ月 |
| 費用(単身12ヶ月) | 処理手数料RM1,080+移民局パスRM360=RM1,440 |
| 年齢 | 主申請者は18歳超 |
就労ビザ(EP)と違い、マレーシアの会社のスポンサーは不要です。ただし、マレーシア国内の企業の仕事を請け負うのではなく、収入源が海外にあることが前提です。長期の定住を狙うなら、MM2HやEP(就労ビザ)が別の選択肢になります。
対象者|IT職に限らず、リモートで海外収入があること
対象は、デジタルフリーランサー、独立請負人、リモートワーカーです。公式FAQは、ソフトウェア、UX/UI、クラウド、セキュリティ、AI、データ、デジタルマーケティング、デジタルコンテンツ制作を例に挙げています。2024年6月のMDEC発表で、対象は創業者、CEO、COO、税理士、法務担当、テクニカルライター、事業開発、PRなどの職種まで広がりました(MDECプレスリリース・2024-06-07)。
収入の証明は次のとおりです(MDEC公式FAQ)。
- フリーランサー: 顧客との契約書・発注書・請求書。契約期間と金額が明記されたもの
- リモート社員: マレーシア法人ではない会社との有効な雇用契約書。月額または年額の給与と、リモート勤務が許可されている旨が明記されたもの
- コンテンツクリエイター: 収入がデジタルプラットフォーム由来であることを示す資料
民間ガイドは、非IT職の収入基準をUSD60,000/年、契約期間を3ヶ月以上としています(KL Nomad・Mishu等・2026年9月確認)。私が取得できたMDEC公式FAQ(v3.0)にはUSD24,000超のみの記載で、非IT職の別基準は確認できませんでした。職種ごとの基準は申請前にMDECへ確認が必要です(要確認)。
費用|単身12ヶ月RM1,440、3人家族の処理手数料RM2,160
手数料はMDEC公式FAQ v3.0(2024年4月版)の数字で、8%のSST(売上・サービス税)を含みます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 処理手数料(主申請者) | RM1,080 |
| 処理手数料(扶養家族1人) | RM540 |
| 移民局パス料(主申請者) | RM90/3ヶ月、RM360/1年 |
| 多次入国ビザ | 国により異なる(該当時のみ) |
| セキュリティ・ボンド(MDECがスポンサーの場合) | 日本はRM1,000の区分に記載(表の体裁が崩れており要確認)。パス満了後に全額返金 |
夫婦と子ども1人の処理手数料は、RM1,080+RM540×2でRM2,160です。扶養家族の移民局パス料は、公式FAQに個別の金額がなく公表なしです。医療保険は加入が求められ、承認後・パス発給前までの提出が可能とされています(Mishu・2026年9月確認)。保険料は民間ガイドでRM600/月程度までの幅があり、公式の基準額は公表されていません。
返金の扱いは版によって異なります。公式FAQ v3.0は「却下時は処理手数料の50%を返金」としていますが、2025年5月1日以降は却下・取消を含め全額返金なしとする民間ガイドが複数あります(KL Nomad・2026年9月確認)。最新の公式FAQでの確認が必要です(要確認)。
申請手順|審査6〜8週間、発給は承認後1週間
手順は6段階です(MDEC公式FAQ)。
- MDEC公式サイト(mdec.my/derantau)でオンライン申請。書類はすべて英語
- スポンサーを決定。マレーシア法人が請け負う場合はその会社。見つからなければMDECがスポンサーになり、ボンドを支払う
- 審査。受理から6〜8週間(追加資料で延びる)
- 承認。承認の有効期限は6ヶ月で延長不可。期限内に入国してパス発給を進める
- ビザが必要な国籍はe-Visa申請。日本国籍はビザ免除国のため通常不要
- 入国後、Expats Service Centre(サイバージャヤ)でパスポートと移民局費用を提出。ステッカー発給は1週間
申請時の要件は、パスポート有効期間が申請時点で14ヶ月超であること、申請者は国外にいてもよいことです。更新は満了の2ヶ月前から申請でき、審査は6〜8週間です。観光で入国した状態で申請した場合、承認後はいったん出国して再入国し、ステッカーを取得する必要があります(同FAQ)。
家族の帯同|配偶者・18歳未満の子・親
帯同できる家族は、配偶者(事実婚含む)、18歳未満の子(養子・継子含む)、障害のある子(年齢制限なし)、主申請者の親です(MDEC公式FAQ)。配偶者はこのパスでは働けません。家族は主申請者と同時に入国しても、後から個別に入国してもかまいません。
子どもが現地校に通う場合は、学校を通じて学生パスを申請します。ホームスクーリングなら学生パスは不要です。JSKLやインター校の記事で学校を選ぶ際は、パスの種類を学校に必ず確認してください。
銀行口座と税|口座開設は困難、183日で居住者に
銀行口座。 公式FAQは「ほとんどの銀行は専門職訪問パスでの口座開設を受け付けない」と明記しています。開設できるかは銀行ごとの確認が必要です。日本の口座やWise等で受け取りながら暮らす前提で計画してください。口座開設の手順は銀行口座の記事で扱います。
税務。 MDEC公式FAQの整理では、マレーシア国外の顧客から受け取る収入について、滞在日数が60日以下なら課税されません(所得税法附則6第21・22項)。61日以上滞在するとリモートワーカーは課税対象になり得ます。フリーランサーは最初の182日は源泉税10%(または租税条約の税率)、183日目以降はマレーシア居住者として課税される整理です(同FAQ Section D)。国外で得た所得への課税免除の措置が2026年末まで続くとする民間ガイドもありますが、公式の一次資料では確認できていません(要確認)。日本側の納税義務は別に発生するため、日本の居住者判定と合わせて税理士に確認が必要です。詳細は税金ガイドの記事を参照してください。
制約|州の制限・期間・永住権にはつながらない
- 対象地域は半島マレーシアです。サバ・サラワクは観光パスでの訪問扱いです。サラワクには別のDE Rantauがあります(MDEC公式FAQ)
- 最長24ヶ月(12ヶ月+更新12ヶ月)。永住や長期滞在への転換ルートではありません
- 1年ごとの更新を前提にした家探しになるため、賃貸契約の残期間とパスの有効期間をそろえる必要があります
- 就業する場合、国内の顧客の仕事はできません(民間ガイドの整理・要確認)
自社データ|家具付き賃貸の家賃帯
DE Rantauの滞在者は、家具付きを1年契約で借りることが多くなります。自社のiProperty現役掲載(デサパークシティ、賃貸176件・2026年9月29日時点のCSV・外れ値除外なしの単純集計)では、次のとおりでした。
| 区分 | 件数 | 家賃中央値 |
|---|---|---|
| 全体 | 176 | RM6,000 |
| Fully Furnished(家具付き) | 129(73%) | RM6,500 |
| Partially Furnished | 43(24%) | RM5,900 |
| Unfurnished | 3(2%) | RM3,800 |
| 2BR・Fully Furnished | 49 | RM5,500 |
| 1BR・Fully Furnished | 7 | RM4,000 |
家具付きが7割超で、家具を買い足す費用を抑えられます。1BRは件数が少なく幅が大きい点に注意してください。為替レートによりますが、月USD2,000前後の収入(USD24,000/年)では、中央値の家賃が収入の過半を占める水準です(RM換算は各自で確認してください)。収入の余裕が小さい場合は、棟別で家賃が低いナディアなどの選択肢を比較してください。棟別の相場は家具付き賃貸の記事、初期費用は移住費用の記事にあります。
個別に相談したい方へ
DE Rantauの承認後は、6ヶ月以内の入国と住居の確定が同時に進みます。滞在予定期間、家族構成、予算、必要な部屋数をWhatsAppで送っていただければ、掲載データから条件に合う棟と物件を案内します。エリア選びは日本人が住むエリアの記事も参考になります。
よくある質問
DE Rantauの最低年収はいくらですか
MDEC公式FAQ v3.0では年収USD24,000超です。非IT職の基準をUSD60,000/年とする民間ガイドもあります。職種による基準は申請前にMDECの最新FAQで確認してください。
日本の会社に勤めたまま取得できますか
取得できます。日本の会社(非マレーシア法人)との雇用契約書で、給与額とリモート勤務の許可が明記されていることが条件です。マレーシアの顧客からの収入だけでは対象外になり得ます。
家族は同じパスで滞在できますか
配偶者、18歳未満の子、主申請者の親が帯同できます。処理手数料は1人あたりRM540です。配偶者は就労できません。
銀行口座は作れますか
公式FAQは、多くの銀行が専門職訪問パスでの口座開設を受け付けないと明記しています。銀行ごとの対応は異なるため、申請前に確認が必要です。
24ヶ月を過ぎたらどうなりますか
DE Rantauは最長24ヶ月で、その先の更新はありません。長く住むなら、EP(就労ビザ)への切り替え、または資産要件のあるMM2Hなど別ビザを検討します。