マレーシアへの引越しで最初に決めるのは、船便の手配ではなく「何を送らないか」です。賃貸は家具付きが主流で、デサパークシティのiProperty現役掲載では賃貸176件中172件が家具付きまたは一部家具付きで、家具なしは3件だけです(自社集計・2026年9月時点)。冷蔵庫・ベッド・ソファを日本から運ぶ必要は、まずありません。一方で、通関には「本人が現地にいること」「使用6カ月超の中古品であること」などの条件があります(SIRVA・IAM国際引越し業界団体の通関案内、2026年9月〜10月確認)。本記事は、送る物の選び方、関税、船便・航空便、ペットの手順を、自社の物件データを交えて整理します。

結論|家財の大半は送らず、船便は「量が決まってから」

  • 賃貸は家具付きが主流です。賃貸176件のうち全家具付き(Fully Furnished)が129件(73.3%)、一部家具付き(Partially Furnished)が43件(24.4%)、家具なし(Unfurnished)は3件(1.7%)、記載なしが1件です(iProperty現役掲載176件・2026年9月29日時点・当サイト集計)。
  • 使用6カ月超の中古の家財・身の回り品は、免税で輸入できます(SIRVA・IAM)。新品は課税対象で、購入時の請求書が要ります。
  • 車は日本から持ち込まない前提で考えます。輸入には貿易産業省(MITI)の輸入許可が必要で、税負担は非常に重くなります(SIRVA・2026年9月確認)。車の選び方は車の記事へ。
  • 船便・航空便の運賃は、荷物の量・港・時期で大きく変わり、公表ベースの相場は取れません(公表なし)。複数の業者から見積りを取る前提です。

送る物・送らない物|自社データで判断する

判断材料は「入居する部屋に何が付くか」と「部屋の広さ」です。

家具・家電の有無。 賃貸176件を間取り別に見ると、2BR60件のうち家具付きが49件(82%)、3BR87件のうち家具付きが60件(69%)、一部家具付きが26件(30%)です。3BRは一部家具付きが3割あり、ここでは家具の追加が必要になります。

間取り賃貸件数家具付き一部家具付き家具なし
1BR9720
2BR604992
3BR8760261

家具付きと一部家具付きの家賃差。 3BRの家賃中央値は、家具付きがRM7,000(60件)、一部家具付きがRM5,750(26件)で、差はRM1,250/月です。2BRは家具付きRM5,500(49件)、一部家具付きRM5,000(9件)で差はRM500/月です(当サイト集計。棟の違いも混ざるため参考値)。家具付きの上乗せは年間で2BRがRM6,000、3BRがRM15,000です。一方、移住費用の記事では、家具付き物件の追加購入は単身RM1,500・夫婦RM3,000・家族RM5,000と試算しています。日本から家財を運ぶ運賃と通関の手間が、この差額を下回るかどうかが分かれ目です。

部屋の広さ。 賃貸の専有面積の中央値は、1BRが904sqft(9件)、2BRが1,283sqft(60件)、3BRが1,507sqft(87件)です。1,507sqftは約140㎡で、日本の3LDK(70㎡前後)の約2倍です。日本の家具はそのまま収まりますが、大型家具の輸送費は面積に比例して効いてきます。

購入する場合。 売買223件では、一部家具付きが155件(69.5%)、家具付きが64件(28.7%)、家具なしが4件です。購入は家具を自分で入れる前提で、送る荷物は増えやすくなります。

送る優先度の目安は次のとおりです。

分類判断
日本語の本・書類・食器・調理器具・子どもの学用品送る候補。現地では入手しにくい
布団・衣類(季節を問わず)送る候補。ただし常夏で冬服の出番は少ない
大型家具・大型家電家具付き物件なら送らない
電子レンジ・炊飯器電圧・プラグ規格が日本と異なるため要確認。現地調達も容易
車・バイク送らない(MITI許可・高税率)

関税と通関|免税の条件

  • 6カ月ルール。 所有・使用が6カ月を超える中古の家財と身の回り品は免税です。6カ月未満の品は請求書の提出と課税が求められます(SIRVA・IAM)。
  • 本人の立会い。 免税の申告には署名が必要で、荷物の到着時に本人がマレーシアにいなければなりません(Seven Seas Worldwide通関案内・2026年9月確認)。
  • 必要書類。 外国人はパスポートの写真ページ、就労ビザまたは雇用契約書、船荷証券(B/L)または航空運送状(AWB)、パッキングリスト、マレーシア国内の連絡先住所です(IAM)。詳細な荷物リストを英語で作り、電気製品は名称・型番・メーカー・製造番号・購入年を一覧にします(SIRVA)。
  • 持ち込み禁止・制限。 肉類・畜産物、生きた動物、花火などは禁止です。通信機器はマレーシア通信マルチメディア委員会(MCMC)の許可、書籍・DVD・CDは映画検閲委員会の審査対象になることがあります(IAM)。アルコールは高率課税です。
  • 通関の所要。 家財の通関はおおむね3〜5営業日とされます(IAM・2026年9月確認)。全量の開梱検査が標準の運用とする解説もあり、余裕を持った日程が要ります。
  • 手荷物の免税枠。 入国時の免税枠は、物品の価値でRM1,000までです。超過分は「個人用」と申告しても免税になりません(王立マレーシア関税局長の見解・SAYS報道、2026年9月確認)。新品の衣類は3点、靴は1足、食品はRM150まで、酒類は1リットルが枠外です。

船便と航空便|使い分けの考え方

船便。 日本発の海上輸送は、フォワーダー情報で3〜6週間とされます。実際は港での待機と通関で伸びるため、入居の2カ月前を発送の目安にします。荷受けは主にクラン港(Port Klang)です。少量なら他の荷主と相乗りするLCL、まとまった量ならコンテナ単位のFCLになります。運賃・保険・国内配送の合計額は、荷物の容積と時期で変わり、公表なしです。

航空便(貨物)。 入居直後に必要な物を、預け荷物の追加や航空貨物で先に送る方法です。運賃は重量課金のため、重い書籍・食器は船便に回します。

入国時の手荷物。 免税枠(前掲)を超える新品は課税されます。衣類・電化製品は古いものを持ち込み、購入品は現地で買うほうが通関の手間が減ります。

日程は逆算で組みます。

時期作業
発送の2〜3カ月前荷物リスト作成・複数社の見積り
発送1カ月前業者決定・梱包日の確定
発送〜到着船便3〜6週間(目安)
到着後通関3〜5営業日・本人立会い・配送

ペットを連れてくる場合

犬・猫は、マレーシアの検疫検査サービス局(MAQIS)の輸入許可が出国前に必要です(許可は発行から30日有効・PetTravel.com)。手順は、ISO規格のマイクロチップ装着→狂犬病ワクチン(入国の30日以上前)→健康証明書(出国7日以内)→輸入許可の取得→到着後の検査です(PetRelocation・2026年9月確認)。

到着後の係留検疫の期間は、情報源で分かれます。マレーシア獣医局(DVS)の公式ポータルは日本をScheduled Country(優遇区分)に挙げていますが、検疫免除と明記された公式資料は確認できていません。日本向けの検疫日数は公式に明示がなく、一般規定は最短7日、リスク評価により最長6か月まで延長される場合があります(当サイトの犬との暮らしの記事参照)。2024年12月28日以降は非Scheduled国からの犬猫に14日以上の係留検疫を課すとする解説もあり(PetRelocation・MICoR)、日本発の扱いは渡航前にDVSとMAQISへ個別に確認してください。禁止犬種は、アキタ、アメリカン・ブルドッグ、ドゴ・アルヘンティーノ、土佐、ピットブル系などです(同上)。日本側は、動物検疫所への輸出検査を出発の14日前までにNACCSで申請します(動物検疫所・2026年9月確認)。検疫費用は公表なしです。詳しくは犬と暮らす記事と、動物病院は医療の記事を参照してください。

相談のご案内

どの棟が家具付きか、荷物をいくつ持ち込めるかは物件で異なります。入居希望の時期・家族構成・ペットの有無をWhatsAppでお知らせいただければ、家具の有無まで含めて条件に合う掲載を絞り込みます。

引越しの前後で押さえたい点

家具付きかどうかは、家賃だけでなく敷金にも響きます。敷金は家賃の2ヶ月分が慣行です(賃貸契約の記事)。棟の選び方は賃貸相場の記事と家具付き賃貸の記事、エリア比較は日本人の住むエリア比較が出発点です。到着後の光熱費・ネットの開通は光熱費の記事、銀行口座は口座開設の記事の順で進めると、入居初日から詰まりません。

よくある質問

使い古した家具・家電は関税がかかりますか

所有・使用が6カ月を超える中古の家財は免税です(SIRVA・IAM)。6カ月未満の品は請求書の提出と課税が必要です。免税を受けるには、荷物の到着時に本人がマレーシアにいることが条件です。

船便は日本から何週間かかりますか

フォワーダー情報では3〜6週間です。港での待機と通関(3〜5営業日)を含めると、発送から受取まで2カ月弱を見込むのが安全です。運賃は荷物量と時期で変わり、公表なしです。

車を日本から持ち込めますか

輸入にはMITIの輸入許可が要り、5年未満の車に限られます。関税・諸税も高率で、現地購入のほうが現実的です(SIRVA・2026年9月確認)。

空港の手荷物で免税になる範囲は

物品の価値でRM1,000までです。新品の衣類3点・靴1足・食品RM150までと酒類1リットルは枠外です(王立マレーシア関税局・SAYS報道)。

犬・猫は日本から連れて行けますか

連れて行けます。MAQISの輸入許可(出国前に取得)、マイクロチップ、入国30日以上前の狂犬病ワクチン、出国7日以内の健康証明書が必要です。日本側も動物検疫所で出発14日前までに輸出検査を申請します。日本は検疫免除と明記されておらず、検疫日数も公式に明示されていません(一般規定は最短7日、リスク評価で最長6か月まで延長される場合あり)。渡航前にDVSとMAQISへ個別に確認してください。